2011年10月6日木曜日

N1読解問題

日本語能力試験 
N1読解問題55+より出題  ISBN 978-4-9905979-0-0  C3081 \1300E

問題Ⅴの2(夫婦別姓)
「選択的(注1)夫婦別姓」についての議論が盛んです。「選択的夫婦別姓」の法案によると婚姻の際に同姓か別姓かを選び、決定後は変更できません。また別姓夫婦の子供の姓はどちらかに統一します。また改正前に結婚した夫婦も、施行後1年以内なら別姓に変更できるというものです。反対している人たちはこの法案が通ったらあたかも全ての夫婦が結婚時に別姓を選ぶかのように問題視しています。結局はほとんどの夫婦が①今までと違わない選択をするだろうから、そんなに大騒ぎすることではないと思います。
現在日本では98%の夫婦が夫の姓を名乗っています。子供の数が少なくなったこともあって、長男長女の結婚や一人っ子同士の結婚の場合、家が絶えてしまうのは困ると考えて結婚に反対する親が多いです。家を残さなければならないという考え方にも問題がありますが、まだ家を守るという考えの人のほうが多いようです。
私の姪は結婚によって夫の姓を名乗りましたが、独身時代に音楽家として名前が知られていたので、結婚後も音楽活動の時は旧姓を使っています。もし夫婦別姓が認められていたら迷わず別姓を選んだことでしょう。近年働く女性が4割を占めるようになり、重要な地位につく女性もいますから、姓が変わると不利益を被ると考えて夫婦別姓を望むカップルが出てきました。現在別姓のまま事実婚を続けている人たちがかなりの数に上っているそうです。彼ら2人だけの場合はいいですが、子供が生まれると子供の立場が複雑になるので、別姓を認める法律を早く作ってもらいたいと言っています。
別姓に反対している人たちは、まず家族の一体化や絆が壊れると言っています。また親と違う姓のために子供がいじめられる可能性があるとか、離婚が増えるとか、家族や子供に影響があると主張しています。賛成の人はかえって絆が強くなるとか、別姓で起こる不都合は同姓でも起こり得ると主張しています。
この法律についてのある新聞社の世論調査では賛成が49%、反対が43%だったそうです。また30~40代の女性に限ってみると約70%が賛成だそうです。ここには子供の意見がありません。別の調査では子供の60%が別姓は嫌だと考えているそうです。「選択的夫婦別姓」は選択肢が増えるという点で賛成ですが、実際には別姓は様々な問題を引き起こすこともあると思われます。
(注1)夫婦別姓:夫婦で違う名字を使うこと


問1 今までと違わない選択とは何か。
1 同じ姓を選ぶ
2 別姓を選ぶ
3 事実婚をする
4 妻の姓を選ぶ

問2 最も別姓を望んでいるのはどんな人たちか。
1 多くの働いている女性
2 一人っ子の女性
3 事実婚をしている人たち
4 高い地位にいる人たち

問3 どうして「選択的夫婦別姓」の問題が出てきたか。
1 他の国が「選択的夫婦別姓」だから
2 国が個人の生活に干渉したくないから
3 個人主義が広まったから
4 女性の社会進出が進んだから

問4 著者の「選択的夫婦別姓」に対する意見はどれか。
1 全面的に賛成
2 個人の選択が増えるという点で賛成
3 別姓の家庭には問題が起きるが賛成
4 子供のために反対


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